マレーシアひとり旅④  ~トラブル~

通訳との待ち合わせ時間、9時15分の5分前にホテルのフロントまで降りていった。
既に彼女は待っていて、とりあえずソファーに座り、簡単な打ち合わせ。
取材先のアポイントの時間は、10時30分。渋滞がなければ、ホテルからタクシーで30分くらいで着く。
当初の通訳との待ち合わせ時間は、9時30分だったのだけど、2日前になって手配をしてくれた旅行会社から15分早めてくれとの連絡が入っていた。
「じゃあ、少し早いけど行きますか。」と通訳を誘うも、彼女は地元の感覚から、「いや、まだいいんじゃないでしょうか。」と、早く行っても待つ場所がないより、快適なホテルでの時間の潰し方を選んだ。
どうやら、空港までの渋滞はほとんどないらしい。
結局、ホテルを出たのは9時45分。何もなければ、アポイントの時間には余裕で着く時間だった。
何もなければ・・・・・。

ホテルのボーイにタクシーを頼むと、僕が前日空港からホテルまで来た料金の倍近い料金をふっかけてくる。
あまりにも高く、これは断ろうということで、路上で流しを拾うことになった。
これがケチのつきはじめだったんだと思う。
タクシーに乗って、まだ市内の中心部を走っているとき、突然、タクシーはガソリンスタンドに入った。
「タクシーに乗ってて、ガソリンスタンドに入ったの初めてですよ。こんなことあるんですか。」と笑っていた。
すると、どうやら、ガス切れではなく、タイヤの調子が悪い様子で、通訳と運転手が何か話している。クアラルンプールでは、英語とマレー語がほぼ同じくらい使われていて、大半の人は両方話せる。
通訳と運転手との会話も途中まで、英語だったから、話していることは大体分かったんだけど、途中からマレー語にいつのまにか切り替わっていて、そこからはどんな会話をしているのかは分からなくなった。
「英語からマレー語に切り替えたのは何でですか?」
この両刀使いの使い分けに僕は興味が湧いた。
「まあ、話してる雰囲気ですよ。この人はマレー語の方がいいんだなっていうことで、途中から変えたんですよ。」

ガソリンスタンドを出たものの、まだタイヤの調子が悪いのはわかった。明らかにスムーズに走っていない。目の前には、高速道路の標識。このまま、高速に乗って大丈夫なのかとは思った。
「これ、大丈夫なんですか。」と、半笑いで聞く僕。
そのとき、なぜか不安というよりも、これから起こりうるトラブルへの予感に対する好奇心が湧いていた。

高速に乗っても彼は全速力では走らない。どんどん追い越し車線で抜かれていく。
このスピードで、予定通り着くんだろうかと通訳に聞いてもらうと、彼は大丈夫だという。
しかし、走り出して15分ほどで、車は路肩に止まった。
僕は、この時点で、アポイント先の時間には間に合わないことを覚悟した。
ハイウェイのど真ん中。JAFみたいなサービスはあるんだろうか・・・。
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後輪は完全にパンクしていた。
運転手がトランクから工具を出して、パンクj修理を始めた。
自分でもこんなことは経験がなく、それはそれで面白い経験だった。
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どこか貴婦人風の通訳は、日傘を差し出して、僕に「入りますか」と言ってくる。
「いえ、大丈夫です。」日差しがどうのこうのというよりも、こんなハイウェイのど真ん中で、貴婦人とビジネスマンが相合傘でパンク修理を見てるってのは、どう見ても滑稽じゃないかと思った。
僕には、おそらくインド系のマレーシア人と、現地人と化した元日本人女性貴婦人と、ジャケットを着たビジネスマンの3人が路上に立っている姿だけで、十分面白い光景だった。

応急処置だったのか、パンク修理は意外に早く終わり、15分くらいで車は再び走り出した。
ただ、アポイントには間に合いそうになく、運転手によれば、10分くらい遅れるという。
それでも通訳の貴婦人は落ち着いたもので、どこにも電話もしようともしない。
「アポ先に、連絡しなくていいですか。」当然のビジネスマナーとして彼女に確認すると、
「10分くらい遅れても大丈夫じゃないでしょうか。」と余裕の回答。
「いや、まあ、こちらのビジネス習慣がそうであれば全然構いませんけど、相手が大物ですので、一応連絡された方がよくないですか?」と真面目なジャパニーズ・サラリーマン。
じゃあ、連絡しておきましょうかと、ようやく電話をしてくれた。

結局、相手も重要な会議が入ってしまったということで、逆に30分待っててくれということになり、パンクによって相手に迷惑をかけることはなかった。そして、大物の会長は緊急会議で現れず、マーケティング責任者へのインタビューになった。この通訳貴婦人の通訳レベルは相当に高く、ほぼ同時通訳で両方の言葉を訳してくれたこともあり、取材内容はかなり充実したものになった。まあ、終わりよければ全てよしということで。

余裕の貴婦人がアポ先に着く前に笑ってた。
「こういうこともあるから、旅行会社は待ち合わせ時間を早くしたんですね。オホホホ。」
運命のひとひねり。
予定通りホテルを出発していれば・・・、ホテルのボーイが手配するタクシーに乗ってれば・・・。
トラブルって、紙一重だなと。
                                 (2009.3.23 クアラルンプールにて)
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by huehuki-pi-hyoro | 2009-04-15 07:08 | 旅日記  

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