小さな冒険~源流ロマン③ Coming Home 

家までの約6キロ。
途中からは市電が走ってるから、その電停までは約4キロ。
まだまだ続けて歩く自信はあったけど、何せ急に思いついて約10キロ歩いてきた。
帰りは疲れたら休めばいい。とりあえず、そこまで歩くか。
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ため池の近くにビオトープがあることを知り、そこまで少し寄り道。
すると、そこには、普段の暮らしでは見ることのない風景が見られた。
目の前に広がる木と空のコントラストについカメラを構えた。
なんてことない風景かも知れないけど、今、この目の前に見える景色をうまく撮れないかなと。
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日はどんどん暮れていき、家に着く頃には暗くなりそうな気配だった。
お日様が丁度、県道を歩く方向に落ちていき、空がみるみる赤らんでいく。
車で来たらこんな風景は目に入らないだろう。
いや、目に入ったとしても「ああ綺麗だな」の一瞬で終わるだろう。
ゆっくり、ゆっくり歩いていたからこそ、こんな風景にも出会えた。
赤い空、赤信号、そして、偶然にも市電のボディも赤だった。
こんな景色も何十年もこの町に住んでいるけど、そう出会えるわけじゃない。
こんな風景を見られたのも、奇跡的な出会いのような。
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そこから市電に乗れば、家の最寄駅まで10分もかからない。
けど、乗らなかった。
ここまで歩いてきて、最後に電車の力は借りたくなかった。
電車に乗ってしまったら多分、今、僕がこの日に感じた満足感は得られなかったと思う。
あと2キロ。16キロも歩いてくると、2キロなんてすごく短い距離に感じた。

僕の家は、市電が坂道をあがるその途中にある。
先日、NHKの全国ネットで豊橋の市電が紹介されていて、「坂道を一生懸命昇っていく姿が好きなんだ」と地元の画家の方が言っていたのを思い出した。
その姿をほぼ毎日見ている僕にとっては、あまりに日常すぎて、そういう風に思ったことはなかった。
だから、歩いて戻ってきたとき、そんな感慨を覚えながら、坂上の電停から見下ろした。
こんな風景も歩いて帰ってきたから見られた。

次は歩いてどこへ行こうか。
今、僕は、もっともっとこの町を歩きたくてたまらない衝動にかられている。
                                        (2010.4.29 豊橋にて) 
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by huehuki-pi-hyoro | 2010-05-05 16:02 | 旅日記  

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