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「アウトレイジ」とたけし63歳

たけしの映画はほとんど映画館で見ている。
ただ、ここ3作ほどご無沙汰していた。作品的に興味があまり湧かなかったってこともあるけど、仕事が忙しかったり、少年野球があったりで、そもそも映画館に行く回数が激減していた。

先々週、久々にたけしの映画「アウトレイジ」を見に行った。
きっかけは、たけし自身が、僕が見ているテレビ番組(探偵ナイトスクープ、A-STUDIO)に続けてゲスト出演して、映画をPRしてたから。(A-STUDIOは、番組づくりという視点からすごくいい番組だと思う。だから、ゲストの多くがそこで思わず涙を流す)
そこまで、われらがたけちゃんが見てくれってPRしてるんだから、見に行かないわけにはいかない。僕の人生に大きな影響を与えてくれた一人であるから。

(ここからネタばれありですので、これからの方はそのおつもりで)
ヤクザ映画、暴力映画と簡単に言ってしまえばそれまでだけど、その類は正直好きではないし、なぜ、たけしが、暴力映画を撮りたいのかっていうのも真意はつかんでいない。
延々と続く、暴力、殺人、怒鳴りあい(これほどまでにバカヤロー、コノヤローの言葉が出てくる映画も史上初ではないだろうか)。ただ、その合間に見える人生の無常、はかなさ、裏切り、友情(契り)。そして、ところどころ現れるお笑い芸人たけし流のユーモア。
結果、あっという間の2時間。面白かった。痛快ともいえる展開に、映画ってやっぱエンターテインメントだなと。行くまで暴力の表現について考えていた僕をあざ笑うかのように。
たけしがA-STUDIOで言ってた。
「パリの記者が、暴力映画を撮って社会に対する影響をどう考えるかなんて聞いて来るんだよ。じゃあ、世界中で作られているほとんどの映画で愛や人間愛を描いてて、世界は良くなってるのかって言ってやったんだよ。」
だから、たけしは、撮りたいことをただ撮ってるだけなんだって。

僕は、そんな暴力映画のなかにも必ずたけしのメッセージがあるはずだと、特に最後の方のそれぞれのセリフのなかにメッセージを探した。
僕が一番、それだと思ったのは、たけしが最後に言ったこの言葉。
「TKOだろうが、KOだろうが、負けは負けだよ。」
マル暴の警察官がボクサー出身だってことも、ここにつながってるような気がする。
その言葉は僕なりの解釈をし、ひとつの人生訓に加えさせてもらった。
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ただ、この映画でたけしが何を表現したかったのかもっと知りたくて、たけしのインタビュー本を買った。最後の章で、アウトレイジのことが語られている。これは、映画を見てから読んだ方がいい。なるほどということは、後で分かった方がいいだろう。
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63歳になり、自らジジイになったと語るたけし。大人からオヤジになりつつある僕は、この本を読んでただ単に、自由に考え、自由に表現し、自由に生きていく勇気をもらった。これでいいんだよね、たけちゃんって。

たけしは、最近、僕が出た大学の卒業を認定されたらしい。これまで中退扱いだったから、先輩ってはっきり言えなかったけど、堂々と胸張って言わせていただきます。
たけしさん、偉大なる先輩と同じ大学を出たこと、誇りに思ってます。

by huehuki-pi-hyoro | 2010-07-03 10:38 | 日記  

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