神島の少年   

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鳥羽の港から神島行きの市営船に乗った。
平日の夕方、乗客はほとんどが島民らしき人たちで、僕の方をちらちらと見ている。
誰やったかな、いや、観光客か・・・・。

神島に着いて、船を降りようとすると、小さな子どもが荷物を取りに出迎えていた。
彼は、誰に何も言わず、黙々と目的の荷物を手に取り、重たそうに運びだした。

僕が泊まる先の宿の息子さんも、このくらいの年齢(とし)だったと思う。
ひょっとしたら、そうかも知れないなと思いつつ、僕も同じ方向に歩いていった。
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周りのおばちゃんたちが、笑顔でこの子に声をかけてる。
「僕、偉いなあ。」
まんざらでもなさそうな顔で、せっせと荷物を運ぶ少年。
やはり、その宿の子だった。

運び終えたら、日が暮れるまでの遊びの時間。
それまでも遊んでたのかも知れない。
船を待って、お手伝いして、また遊んでたのかも知れない。
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遊ぶ相手はいなかった。
ひとりスケボーで遊んでた。

ジャングルジムもブランコもほぼ彼の独占状態なんだろうな。
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アイスを食べながら通り過ぎる母娘をじっと見つめていた。
僕も食べたいなと思ってたんだろうか。
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この島にはたった8人の小学生しかいない。
彼はぴかぴかの小学1年生。
今年は彼ともうひとりの2人での入学式だったという。

500人の島にいるたった8人の小学生。
偶然だろうけど、給食室の壁には8人の子どもが描かれていた。
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去年、この島の小学生たちをクローズアップしたテレビ番組が賞をもらった。
よくあるお笑いタレントが島を訪問するといった類の番組だったけど、そこには子どもたちを守ろうとする島の人々とのコミュニティがとても温かく表現されていた。
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子どもたちはたった8人だけど、500人の愛情が注がれている。
そんな風に僕には見えた。

素朴な子どもたちの笑顔や振る舞い。
そして、子どもたちは島の宝として島の人たちに大事に育てられてく。
それが、この島の良さなんだろうなと思った。

だから、僕はこの島へ来たら子どもたちに会いたいと思ってた。

宿での食事は、この子と同じ食堂で食べた。
僕は、食事の途中で、鳥羽駅で買っておいたポケモンのスタンプをおみやげで渡した。

少年は、嬉しそうに、そして、しっかり、かしこまって「ありがとうございます。」と言った。
スタンプは、あっという間になくなってしまうのではないかと思うほどの勢いでノートいっぱいに押されていた。
喜んでくれてよかった。
また、今度来るときは、遊ぼうな。
キャッチボールしようか。
                    

そして、20数年前まで同じようにあんな子だった父さんは、翌日、ひとり飛んでいた。
                         (2011.6.29 鳥羽の離島・「潮騒の島」神島にて)
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by huehuki-pi-hyoro | 2011-07-06 00:20 | 旅日記  

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