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ラプソディ (RHAPSODY NAKED/RC SUCCESSION)

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1980年10月28日。あの日が、僕の“青春”のひとつのピークだったのかも知れない。高校3年の秋。部活もなく体育祭も終わって、ちょっとした楽しみがなくなった頃だったと思う。誰が言い出したか全く覚えてないけど、僕らはスタジオを借りてライブをやろうってことになった。僕がボーカル、ギターは僕らのまわりでは一番うまかったマコト、もう一人のギターはこれもちょっとだけうまかったシオ、ベースは本職じゃないけど多分俺がやるって言い出したマサト、ドラムスは唯一学校でドラムを持ってたであろうカトマ。この5人でRCのコピーバンドを演った。
僕の家は学校から近かったこともあって、放課後の溜まり場になってた。部活がなくなってから、それはますますひどくなり、毎日のように誰か、いや、誰かどころか多い時には6畳の部屋に10人くらいがいた。コタツでは麻雀、ベッドではトランプやってたりギターを弾いてるやつがいたり、机では誰かが雑誌を読んでたり・・・。タバコの煙がもうもうとするなか、ラジカセからは僕が好きな音楽が流れてた。
RCの「ラプソディ」を持ってたのは僕と、そのちょっと前まで彼女のような関係だった子だけだと思う。当時、みんなお金もないから、レコードの貸し借りはあたり前。僕の「ラプソディ」 は、親しい奴はもちろん、どっかで噂を聞いた他のクラスのよく知らないやつまでも何人もの手に渡り、夏が終わる頃にはレコードジャケットはボロボロになって帰ってきた。
その「ラプソディ」 を演ろうってことになった。僕が主導権を握ってたわけじゃないと思うけど、それはすんなりと決まってた。コードを書いた紙をみんなに配って、各自自宅で自主練習。そして、1回だけ僕の家に集まって予行練習をしたと思う。マコトが、「上を向いて歩こうのコード、レコードと違うけどどうする?」って言ってきたけど、もうみんなそれで練習してしまっていた。マコトがなんとかしれくれるだろうと思って任せた。ベースが本職でないマサトは、猛練習の結果、当日、指の皮がはがれてた。

『RCハックション スタジオライブ!』。当日、スタジオには10数人の友達が集まった。半分は女子だったと思う。そもそも何十人も入れるスタジオじゃないからそんなに声をかけてない。普通の学校がある日だった。服は学生服のまま。けど、僕だけは、唯一RCの良さを本当に分かち合えたその元彼女のような関係の子(ライブの頃は互いに信頼できるいい友人になっていた)から、ちょっとしたメイクをさせられていた。髪の毛にディップをつけてツンツンに逆立て、彼女の口紅を塗らされた。その時、写真を撮ったけど、現像に失敗し絵の証拠は残ってない。けど、スタジオで録音してたテープには、その写真を撮る瞬間の声が入ってて、僕がとったポーズに周りから大爆笑が起こってた。
「よォーこそ」「ラプソディ」「雨上がりの夜空に」「上を向いて歩こう」そしてアンコールでもう一回「雨上がり」の5曲を演った。「Yeah!愛し合ってるかいっ!」MCも清志郎ばりに決めた。たかが30分くらいだったと思う。けど、はじめて経験したバンド演奏に僕は、超気持ちよかった。超楽しかった。
ライブが終わった後、カナディアンハウスという喫茶店に寄って帰った。さっきとは別人のおとなしくなった僕がいた。余韻というか、これで、いよいよ受験勉強もまじめにやらなきゃいけないのかなと寂しくも思ってた。その時、ひとつの僕の青春のピークは終わった。今でも、その喫茶店の横を通るとその日のことを思い出す。

b0041442_16971.jpgその青春の象徴であるRCの「ラプソディ」が25年の時を経て、ネイキッドという形で、LPに収録されなかった9曲を加え、当日の演奏曲目全曲を全くの手を加えずそのままの姿で再発売された。1曲目から最後の曲まで全曲一緒に歌えるアルバムなんてこの「ラプソディ」しかない。今でも歌える。それくらい擦り切れるほど聴いた思い入れのあるアルバムが、こうして今蘇った。奇跡だ。日本のロックを変えた伝説の1日を記録したこのCD/DVDはまさしく日本のロック文化の宝だと思う。もう聴くことはないけど何人にも貸してボロボロになったLPも僕自身の思い出があまりにも多く詰め込まれた宝だ。そして、25年前の1980年10月28日。あの日の30分が残された幻のカセットテープは、まさしく僕ら仲間達との永遠の青春の宝物だ。ビデオなんてまだなかった時代だから、僕の肉声としては最古(ちょっと、おおげさか)のものだ。しかもはちきれんばかりに歌ってる。あの日はこのカセットテープのなかで永遠に生きている。
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by huehuki-pi-hyoro | 2005-11-05 15:39 | 音楽  

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