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Hong Kong⑤ 幻の1万香港ドルナイト

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“幻の”と書いただけで、結論は察してください。
この出来事を書くべきか、書かざるべきか、書いて思い出したくないことを残すか、いや、書いてすっきりするか・・・。あの日から、もう1週間近く経つ。徐々に思い出す頻度は少なくなっているものの、まだ、ときどき、あの幻の瞬間を思い出す。ならば、書いてすっきりしよう。所詮、ギャンブル、笑い話として書こうじゃないか。
世界文化遺産訪問を終えた僕ら男3人衆は、なかなかつかまらないタクシーを諦め、バスでフェリーターミナル近くのカジノホテルへ向かった。目指すは、最近誕生したラスベガス風巨大カジノ「サンズ」。マカオには、いわゆる賭博場をイメージするような古いタイプのカジノしかないという話を聞いたことがあっただけに、この豪華カジノには驚いた。ラスベガスと全くそん色ない。
僕は、●雀も好きだし、競馬もかなり熱くはまったこともある。決してギャンブルは嫌いな方じゃない。ただし、1万円以上は損しないという小心者ギャンブラーである。
だから、今回、マカオに行くと言われても、ギャンブルしたいという気持ちはほとんどなかった。ラスベガスで経験済みだし、まあ、遊びというか、お2人のお付き合いで行こうくらいの気軽な気持ちだった。
台に着いたのは、マカオで有名な「大小」という3つのサイコロの目を当てるゲーム。
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最初に買ったのは、わずかに100香港ドル(1,500円)のチップ1枚。そこから、僕の幻のギャンブルタイムが始まった。
お2人は流れを重視していたが、僕は、こういうのは確率論だと信じ続け、過去5回~10回分の出目を見て、出ている確率の少ないものばかりに賭け続けた。(これは、韓国のカジノで勝った男の話から、そう信じていた。)それが、当たった。7割から8割近い確率で当て続け、まわりにいる中国人おばちゃん、おじちゃんたちからは、羨望のまなざしで見られ、途中から、僕がチップを置くまで様子を見るようにまでなっていた。手元には、たったの1,500円がいつの間にか、3万円、4万円、10万円と増え続け、ついには1万香港ドル=15万円まで達していた。
隣のおばちゃんは、もう、「あんた凄いね。無茶苦茶儲かってるじゃん。」とでも言ってるかのように中国語で笑顔で話しかけてくる始末。ただ、ディーラーも、ぼちぼち僕を警戒するような目で見始めていた。これは、引き時かなと思っているころ、すっからかんになっているお2人が喉が渇いたんで休憩しましょうという。ならばと、気前よく、チップをディーラーに渡し(これは勝ったときの礼儀)その場を離れた。
手元には15万円分のチップ。わずか1時間か2時間ちょっとで、100倍に膨れ上がっていた。もちろん、そのまま両替すれば、僕の財布には現金15万円があふれんばかりに入っていた。休憩時に、色っぽいダンサーが踊るステージの最前列のテーブルに座り、ビールを飲んだ。もちろん、勝ち組の僕のおごり。ビールを飲みながら、僕は、大小の勝ち方を語ってた。相当に気分がよかった。
さて、2回戦。僕は、もうやめてもいいという気もあった。けど、まだ、時計は9時。しかも、完全に舞い上がっている僕は、絶対に負けるわけがないと思っていた。大小ってなんて簡単に勝てるギャンブルだろうと思ってた。やればやるほど儲かる。本当に舞い上がってた。完全に目がくらんでいた。しかも、「Tさん、100万目指しましょう。」という言葉にも踊らされ、よっしゃ、100万目指すぞと思ったその時、すでに、僕はマカオに負けていたのかも知れない。
2度目に着いたのも大小のテーブル。さっきの賭け方そのままに、賭け続けた。しかも、100香港ドル(1500円)チップではなく、500香港ドル(7,500円)、1,000香港ドル(15,000円)のチップをばんばん貼ってた。100万円目指すのに、100ドルチップなんてしゃらくせえやい。負けても何度目かには必ず返せると信じ、賭け続けた。ところが、ギャンブルの女神は、調子に乗った僕を既に見放していた。あれよあれよとチップはなくなり、ついに手元にはわずかに1,000香港ドル。1万5千円かあ、まあ、これでもいいやという気にもなったけど、ここまで来たらもう一緒。所詮、勝とうと思ってきてないんだから、全部使っちまえということで、あっという間に1時間かからず手元のチップは消えていった。はっはっはっ。やっちまいました。終わった瞬間は意外にさばさばしていた。所詮、ギャンブル、所詮、ゲームさと。

けど、人生の中で100万円目指してギャンブルしたのも初めて。本気で100万円稼げたらそのうち何割かを映画に投資しようと思ってた。結果、夢破れた。あのままテーブルを替わらなければ行ってたかも知れない。いや、ディーラーに警戒され、そのままいても負けていたかも知れない。まあ、いいさ、面白い経験をさせてもらった。100万円を目指した夢はあっという間に破れた。
けど、強がらせてもらえば、僕は負けてない。わずかに100ドルのチップしか金は払ってない。前半のテーブルと後半のテーブルで1勝1敗。まあ、所詮ギャンブルなんてそんなもんさ。
僕は、ギャンブルに関わらず人生所詮チャラと思っている。儲かるときもあれば、損するときもある。いいこともあれば、悪いこともある。本当にそう思ってる。それが、たまたま、凝縮して出ただけかなと。もし、あのまま15万円稼いで帰ったとしても、どっか違うところで足元すくわれることもあるだろうなと思う。
だから、それでよかったんだと・・・・・思うしかない。

3回戦に臨む気のない僕は1人で香港に戻った。フェリーは11時30分発、ホテルに着いたのは深夜1時。ホテルのベットに座ったとき、やっぱ、ため息が出た。はぁ~あ。100万円を果敢に目指した勇敢な男・・・と慰めるしかなかった。
翌日、電話で女房にこのことを話した。「負けなくてよかったんじゃない」と笑い飛ばしてくれた。それで、少しすっきりした。笑い飛ばそう。幻の1万香港ドルナイトよ。
いつか、またマカオで必ずリベンジする。今度は僕の勝ちの番だ。誰か行きませんか?

by huehuki-pi-hyoro | 2006-03-26 23:37 | 日記  

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