Dailand⑥ ~タクシードライバー~

僕がタイに行って、どうしても行っておきたいところがひとつだけあった。
それはムエタイ。そうキックボクシングのメッカで、その熱き様子を見てみたかった。
事前に大ちゃんに情報を求めると、毎日やってるという。
ただし、外国人の入場料は高いですよとも聞いていた。
けど、僕は行きたかった。大ちゃんが気乗りしなくても、彼の分まで払ってでも行きたかった。
僕が小学生の頃、キックボクシングは大ブームだった。
月曜7時、TBS系で毎週30分放映してた。そして、沢村忠というヒーローはアニメにもなった。
親父がキックボクシングの大ファンでその影響もあって、毎週見てた。
そして、そのときから、タイのムエタイキックボクシングのことは知っていた。
試合前のだらだらと長い踊りも、当時から知っていたし、子どもながらにその真似をしてたような気もする。
だから、今回のタイ旅行では、どうしてもムエタイを見たかった。
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シーフードレストランを出て、タクシーを拾った。
僕の地理的感覚では、会場までは大きな通りをそのまま行けば着く。
大ちゃんが行かなければひとりで行こうと思ってたから、大体の地図のイメージは持っていた。
ところが・・・・。
タクシーは、歓楽街に向かい、しかも回遊しているような感じがする。
大ちゃんが、この辺りが歓楽街ですよと教えてくれる。
ただ、僕の目的はここにはない。
車中では、大ちゃんとタクシードライバーがなにやら会話をしている。
僕には普通の、いやどちらかと言えば楽しげに会話をしているようにも聞こえた。
これはタイ語自体が優しい感じの言葉に聞こえることもある。
「この運転手は、大のキックボクシングファンらしいんです。で、彼が言うには、今日、ムエタイはやってないと言っているんです。」
すっかり真に受けた僕は、それならしょうがないと諦めた。ついてないなと。
「ただ、多分、嘘ですから。」
えっ、タクシーの運転手ってそんなすぐにもばれる嘘を平気でつくのか。
「彼は歓楽街に連れてきて、どっかから金をもらうんですよ。」という。
そこから、再び、大ちゃんと運転手が話し始めた。
ちょっと険悪な雰囲気もなんとなく僕は察した。
すると、突然、道の途中で車は止まり、大ちゃんが車から降りた。
「降りましょう。お金はいいですから。」
お金がいらないってどういうことなのか分からないまま、僕も降りるしかなかった。
タクシーはちょっと遠いムエタイの会場までは行かないと言い張ったらしい。
ならば降りる、金は払わないからなと大ちゃんは啖呵を切って車を降りた。

この町ではこんなことは当たり前なんだという。
何を信じ、何を信じなければいいのか。僕にはたかが3日間では到底理解できなかった。
そして、次のタクシーに乗り、ムエタイの会場に再び向かった。
それでも僕は会場に着くまで、ひょっとしたら本当に休みなんじゃないかとも思ってた。
ところが、会場に着くと、人は溢れていた。
誰だ、今日はやってないなんていってるペテン師野郎は。

そして、僕はムエタイの会場に足を踏み入れた。
                                  (2008.2.1 バンコクにて)
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by huehuki-pi-hyoro | 2008-04-06 22:35 | 旅日記  

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