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大豊さんに会ったらよろしくと

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去年の12月。台北で半日タクシーを借りて観光地を回った。
運転手さんは、日本語が堪能ばかりでなく、サービス精神も旺盛ですこぶる満足できる半日の旅を過ごすことができた。
運転手さんがくれた名刺を見ると、お茶屋さんの名前が書いてあった。
実は、この運転手さん、本業はタクシーの運転手ではなく、ウーロン茶のお店の社長だった。
特に無理やり自分の店に連れていくという雰囲気ではなかったけど、旅の最後は、店に寄ってお茶でも飲んできますかということになった。
店にはこちらも日本語堪能な店長らしき人がいて、丁寧にお茶をいれてくれた。
こんなにも丁寧にいれてくれたウーロン茶を飲んだことはない。
確かに、そのお茶の温度、入れ方はプロの味で、おいしいお茶を何杯もいただいた。
そして、こちらの名刺を渡すと名刺の住所を見て、店長が反応した。
「錦三丁目って、大豊さんの店があるところですよね。」
「ええ、うちの会社のすぐそばですよ。」
「大豊さんの店のお茶は、全部、うちから仕入れてるんですよ。」
思わぬ出会いだった。大豊さんの店は、本当にうちの会社の1本隣の筋にある。
大豊さんとは、台湾出身の元中日ドラゴンズの4番、セ・リーグのホームラン王にもなったあの大豊さんである。
さらにいろいろ話を聞いてると、この店のお二人と大豊さんがただならぬ関係にあることが分かってきた。大豊さんの店の界隈が再開発されるという話も知ってたし、今、ドラゴンズで活躍するチェン投手の裏話も聞かせてくれた。
「大豊さんに会ったらよろしく伝えてくださいよ。」
「分かりました。」
タクシーの運ちゃん兼社長と、店長にそう言われたまま、あれから半年が過ぎた。
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そして、今日、ようやく大豊さんの店に。
なんだかんだいって実はこの店に入ったのは初めてだった。
店の前にある自動販売機では、何度も「がぶ飲みコーヒー」を買ったことがあるけど、店に入ったことはなかった。
大豊さんが、普通に店にいるということは聞いていた。けど、毎日いるわけでもないだろうし、もしいたら、台湾でのお茶屋さんに会ったことを伝えたいと思ってた。
店に入り、2階に案内されると、厨房にTシャツ、ジャージ姿の大豊さんがいた。
他の女性店員と同じように、自ら注文をとり、料理も運ぶ。
ただ、僕らのテーブルの担当ではなかったので、話す機会はなかった。
忙しそうにしてるし、まあ、今度来たとき、話すタイミングがあればあのことは話そう。
そう思いながら、食事を終え、1階のレジに降りていくと、大豊さんがいた。
ランチ代を払い、大豊さんからおつりをもらった。
そして、おつりをもらいながら、台湾でお茶屋さんに会ったことを大豊さんに伝えた。
「台北でこの店にお茶を納めてるタクシーの運転手もやってる社長さんに会ったんですけど、大豊さんに会ったらよろしくと言ってました。」
「あぁ、呉さんね。はい。」
ちょっぴり笑いながら、大豊さんは応えてくれた。
どうしても伝えなきゃという使命感はなかったけど、心の片隅にいつか伝えたいという思いは残っていた。お会いできて、伝えることができてよかった。
記念に、写真を撮らせてもらった。
現役、OBも含めて、プロ野球選手とツーショットの写真を撮ったのは初めてだった。
しかも、元ドラゴンズの4番バッターと。
今度は、台北に再訪問したときに、あの店に行って、このことを伝えようと思う。
台湾で呉さんに会ったらよろしくと。
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(↑大木金太郎でも島木譲二でもありません。正真正銘の元ホームラン王・大豊さんです。)

by huehuki-pi-hyoro | 2008-05-15 01:43 | 野球  

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