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EURO TOUR ⑤ The Wall

44歳になって異国の地で迷子になった翌朝。
ドイツ最終日は、午前中しか時間がなかった。仕事は、10時からの1時間だけ。
夜中に地図を見ながら、どう街を歩こうかいろいろ作戦を考えていた。
フロントに電話をすると、ホテルのチェックアウトは12時までOKだという。
ならば、荷物はホテルに置いたまま出かけることにしよう。
朝6時にレストランに行き、朝食バイキング。一番最初の客だった。
バイキングは、高級ホテル並みに充実してて、満腹になるまで食べきった。
すぐに出発できるように荷物をまとめ、7時にホテルを出た。
まず向かったのは、空港行きのバス乗り場があるツォー駅。
空港行きのバス乗り場は分かりやすく、時間も気にするまでもなく、10分に1本くらい出ているようだった。まずは安心。
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そこから、10時までのアポの時間、ずっとベルリンの街を歩き続けた。
ツォー駅のすぐそばにある巨大な教会。前日、空港からタクシーでホテルに向かうとき、近代的なビルの間にこの教会が目に入り、その存在感に圧倒された。ホテルに着いてすぐにガイドで調べると、空襲で焼かれたままの姿が残された教会なんだという。改めて、そばまで行き、その姿を眺めた。何十年も破壊されたままで居続ける建物の姿に、広島の原爆ドーム並みの衝撃を僕は覚えた。
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地手鉄に乗り、世界文化遺産の博物館群島へ。朝早いこともあり、博物館はまだ開いていなかったけど、4つの博物館の周りをずっと歩いた。ここも圧倒的な存在感がある。そして、この国に残された歴史と文化の重みを感じる。
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観光客もまだほとんどいないブランデンブルグ門を通り過ぎ、見事な発展を遂げたポツダム広場まで歩く。ただ、足が重い。世界ツアーの疲れか、時差ボケ症状か、昨日の迷子の疲れか(それはないと思う)、早朝に起きたからか、歩くペースは相当に遅くなっていた。10分歩いては休み、ベンチを見かけると座って休んだ。
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「菩提樹の下の通り」という意味の気持ちのよい並木道ウンター・デン・リンデン通りのベンチに座っていると、白バイや警官の姿がやたら目につき始めた。交通制限までし始めている。車が混んでるわけでもなく、何か事件でもあったのかと興味津々で見ていると、国会議事堂方面から警視庁のパレードのような白バイの集団が現れた。前後には、黒塗りの車数十台。白バイに守られた1台の黒塗りの車には、間違いなく国家元首クラスが乗っていたんだろうと思う。ただ、僕は、そのとき、ドイツの国家元首って誰か知らなかった・・・。
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足は相当に重かったけど、歩き続けた。地下鉄に乗るという手もあったけど、一駅、一駅乗っていくのも面倒くさい。こんなに天気がいいんだから、気持ちよいベルリンの朝を歩こうと。
7年前には工事真っ最中だったポツダム広場の再開発はほぼ終わっているようだった。オフィスビル、商業施設、高層住宅、高級ホテルが並ぶこの辺りは、ベルリン発展の現代の象徴でもある。そして、その目の前には、ベルリンの過去の象徴である“ベルリンの壁”の一部が残されている。かつて、ここを境に冷戦が続いていたとは到底思えない。もはや、今の話ではなく、歴史の一部となっている。他の場所にも残されているところはあった。ベルリンの人の心には、この“壁”はどういう位置づけで残されているんだろう。平和の象徴なのか、過去への反省の象徴なのか・・・。
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僕はポツダム広場を後にし、仕事先に向かった。
仕事を終え、ホテルに戻り、荷物をとり、娘への絵葉書をフロントに預けた。
(フロントには切手はおいてなかったけど、フロントのおねえちゃんが、「私が切手買って出しておいてあげるわ。」と笑顔で言ってくれた。いい人が多いなあ、この街は。)
そして、午後、デュッセルドルフ経由ロンドン行きの飛行機に乗り、ドイツを後にした。
今回はわずか3日の滞在だったけど、また、来て見たい国であることは間違いない。
もっと、ゆっくりと、ゆっくりと来て見たい。
                                         (2007年5月4日)

by huehuki-pi-hyoro | 2007-06-16 10:15 | 日記  

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