息子の野球チームと戦うことなんて、生涯に何度あるだろう。
女房の出場する野球チームの監督をするなんて経験もそうやたらにはない。
息子の出場するチームの相手チームの監督として戦うなんてことも。
昨日、この3つを1日で全てこなした。
朝まで降り続いた雨でグランドは水浸し。
しかし、お父さん方と子供達の総出で、グランドの水をスポンジでとり、砂をまいてなんとか間に合わせた。
学校の砂場は、半分くらい砂が削り取られた。(後で学校に怒られるんじゃないか・・・)
第1試合は、母さんチーム対3年生チーム。
母さんチームの監督を任命された僕は、ただの思いつきだけで守備位置と打順を決めた。
守備位置を指示したり、バットに当てるこつを教えたり、ホースプレーを教えたりと、
一応にわか指導はしたけど、グローブをはじめてはめたという母さんもいて勝ちようがない。
監督初采配は、完敗だった。
やきそばバーベキューの後の第2試合は、息子のいる6年生対、僕が監督をする5年・3年混合チーム。
実質、真剣勝負としての監督初采配。サインも出した。イニングごとに子供達に声をかけた。
息子は僕の目の前では初ヒットとなる2塁打を放った。
拍手をしたつもりはなかったけど、後で6年の監督に、
「田中さん、相手チームなのに拍手してましたね。」と言われた。正直、嬉しかった。
試合は、母さんチームに続いて完敗。
勝ち負けじゃなく、監督として息子チームと戦ったことに満足していた。
第3試合は、いよいよ本番のお父さんチーム対6年・5年のベストメンバー対決。
普段参加してないお父さんたちが先に試合に出場し、
僕らいつも練習に来ているコーチ陣は最後に登場。
最終回の打席に立った僕は、センター越えのエンタイトル2ベースを放った。
2塁ベースにたどり着いたとき、息子が2塁ベースで球を待ち受けていた。
「くそっ!」と小さい声でつぶやいた。
あと、1mでホームランだった打球を僕は悔やんだ。
2塁ベース上の2人の姿を撮ってくれた写真があれば、一生とっておきたいと思う。
そんな瞬間はめったにない。
運動音痴の息子が野球チームに入るとは思ってもいなかった。
それが半年経ったら、親子で戦っていた。
家に帰って、2人でシャワーを浴びた。
「お父さん、ホームラン惜しかったね。」「いや、別に打てたからいいんだわ。」
「なんでえ、クソって言ってたじゃん。」
息子はしっかり、僕のつぶやいたひとことを聞いていた。